[資料 No.13]
文献解説表
標題
エノキタケ抽出物の脂肪酸を含む成分のアドレナリンβ3受容体結合:化学分析ならびに酵素活性・受容体結合研究
著者
久保 光志、藤本 康雄、牧野 三津子、佐武 紀子、山田 静雄、渡邉 泰雄
掲載
応用薬理, 76(1/2), 7-13(2009)
要旨
エノキタケ抽出物(キノコキトサン)は食用キノコを原料とした機能性食品素材であり、β-グルカン、植物性キトサンおよび複合糖質などが含まれている。これまでの研究で、エノキタケ抽出物を摂取することによって、体内に蓄積した脂肪の分解促進効果が得られることが示唆されており、そのメカニズムとして、近年エノキタケ抽出物に含まれる脂肪酸が関わっている可能性が注目されていることから、これらの脂肪酸がどのような脂質代謝酵素や受容体の活性に関与しているのかを検討した。その結果、エノキタケ抽出物に含まれている特有の脂肪酸複合体に内臓脂肪の減少効果があること、またそのメカニズムにβ3アドレナリン受容体が関与していることが示唆された。
目的
エノキタケ由来の抽出物の内臓脂肪減少効果における作用メカニズムを検討する。
具体的手法
• エノキタケ抽出物からエタノールに溶ける複数の成分を抽出し、さらにそこから脂肪酸を多く含む数種の成分を取り出した。
• エノキタケ抽出物とエタノール中に溶けている複数の成分が、脂質代謝系に関連する酵素及び受容体について、どの程度結合し活性化させるかを、細胞を使った実験を行い比較検索した。
• エノキタケ抽出物から取り出した脂肪酸複合体がヒト由来の細胞にあるβ3アドレナリン受容体にどの程度結合するか、またその結合割合は濃度依存的に高くなるのかを検討した。
結果の要約
まとめ
エノキタケ抽出物からエタノールを使って抽出した成分の中で、脂肪酸を多く含む部分は、β3アドレナリン受容体に比較的強い結合性や活性を示すことが認められた。エノキタケ抽出物を含む食品による内臓脂肪減少効果のメカニズムにβ3アドレナリン受容体が関係していることが分かった。