[資料 No.12]

文献解説表

標題

エノキタケ抽出物(キトグルカン)含有茶飲料の連続摂取による内臓脂肪減少効果の検討


著者

堀 祐輔、清水 隆麿、小池田 崇史、渡邉 泰雄


掲載

応用薬理, 74(5/6), 121-129(2008)


要旨

エノキタケ抽出物のメタボリックシンドロームに対する効果について、二重盲検法による並行群間比較試験にて検討した。30~60歳の男女76人を被験者とし、無作為に(1)対照群、(2)エノキタケ抽出物摂取群の2群に割り付けた。被験飲料の摂取期間は12週間とし、被験者にはエノキタケ抽出物含有茶飲料または対照飲料を1日1本(350mL)摂取させた。
その結果、対照群と比較すると、キノコキトサン摂取群では、体重、ウエスト周囲径、内臓脂肪面積率および体脂肪において減少が認められた。また、エノキタケ抽出物は、筋肉を減少させずに脂肪を減少させていた。さらに、摂取を終了して4週後には、エノキタケ抽出物含有飲料によって変動した測定値は摂取開始前の初期値に戻っていった。
他方、試験期間中、全被験者において、有害事象および臨床上問題となる異常は観察されなかった。
結論として、被験飲料は代謝を改善し、肥満被験者の内臓脂肪を低減させることが明らかとなった。


目的

エノキタケ抽出物含有茶飲料の12週間連続摂取による内臓脂肪減少効果の検討。


具体的手法

•  試験はプラセボ対照二重盲検法で行い、被験者は、BMI、体重、ウエスト周囲径および年齢が極端に偏らないように、無作為に2群へ割り付けた。
•  試験飲料は1本(350mL)当たりエノキタケ抽出物が400mg含有されているものを用い、対照飲料は外観・性状においてエノキタケ抽出物含有飲料と区別がつかないように調整した。各飲料は1日1本(350mL)ずつ12週間摂取させた。
•  被験者には、試験開始前の食習慣、運動および日常の生活習慣を変えることのないように指導した。


結果の要約

対象例数摂取量・期間結果
BMIが25以上、体重95kg以内の30歳以上60歳以下の男性又は40歳以上60歳以下の閉経後の女性○76名
(1)対照群
 (男性29名、女性9名)
(2)摂取群 
(男性28名、女性10名)
○摂取量
(1)対照飲料を1日1本
(2)エノキタケ抽出物400mg含有飲料を1日1本

○摂取期間
12週間
○CT測定
対照群は摂取開始時と比較して有意な減少は認められなかったのに対し、摂取群では摂取12週後に内臓脂肪および全体脂肪面積の有意な減少が認められた。変化量の群間差では、摂取群で有意な減少が認められた。

○体重、BMI、体脂肪率、体脂肪量およびウエスト周囲径
対照群は摂取前後で有意な減少は認められなかった。摂取群では摂取期間中に有意な減少が認められた。また、変化量の群間差では、体重、BMIおよびウエスト周囲径において、摂取群で有意な減少が認められた。

○有害事象および診察所見
有害事象発現率に有意な差は認められず、医師による診察・問診の結果、自覚症状、医師所見のいずれにも異常は認められなかった。

対象

BMIが25以上、体重95kg以内の30歳以上60歳以下の男性又は40歳以上60歳以下の閉経後の女性

例数

○76名
(1)対照群
 (男性29名、女性9名)
(2)摂取群 
(男性28名、女性10名)

摂取量・期間

○摂取量
(1)対照飲料を1日1本
(2)エノキタケ抽出物400mg含有飲料を1日1本
○摂取期間
12週間

結果

○CT測定
対照群は摂取開始時と比較して有意な減少は認められなかったのに対し、摂取群では摂取12週後に内臓脂肪および全体脂肪面積の有意な減少が認められた。変化量の群間差では、摂取群で有意な減少が認められた。

○体重、BMI、体脂肪率、体脂肪量およびウエスト周囲径
対照群は摂取前後で有意な減少は認められなかった。摂取群では摂取期間中に有意な減少が認められた。また、変化量の群間差では、体重、BMIおよびウエスト周囲径において、摂取群で有意な減少が認められた。

○有害事象および診察所見
有害事象発現率に有意な差は認められず、医師による診察・問診の結果、自覚症状、医師所見のいずれにも異常は認められなかった。


まとめ

エノキタケ抽出物含有茶飲料は、BMI25以上の被験者に対して、内臓脂肪減少効果を有していることが明らかとなった。一方、血液生化学検査、尿検査および日誌アンケートの結果では、各群とも異常変動が認められず、健康への影響はないと考えられた。また、副次作用などの臨床学的に問題となる有害事象も認められなかったことから、安全性の高い食品であることが確認された。