[資料 No.10]
文献解説表
標題
シャンピニオンエキス
著者
谷口治
掲載
食品機能素材II 第6章 p.336-342
要旨
シャンピニオンエキス濃縮粉末(以下BX100FPD)に関する、組成、製造及び機能面などの概説である。消臭にかかわる箇所を以下に抜粋した。
(1)水素イオン濃度による消臭活性
BX100FPDはin vitro試験により、悪臭成分の一つであるメチルメルカプタンを消去することが知られている。
局方1液(胃液)と局方2液(腸液)を使用した試験結果では、BX100FPDのメチルメルカプタンに対する消去作用は溶液のpHに深く依存していて、pH0.9~1.2の強酸性環境ではBX100FPDの活性は発現せず、pH7以上の弱塩基の条件下で強力に作用することが判明した。胃の分泌物のpHは強酸性の1~3、小腸では十二指腸から回腸へと徐々にpHが上昇し(十二指腸でpH5~6、空腸でpH6か7、回腸でpH8)、結腸ではpH8以上になることから摂取されたBX100FPDの消臭活性は小腸下部から結腸にかけて働くものと考えられる。
(2)消臭及び腐敗産物の抑制
シャンピニオンエキスBasicの鶏肝ホモジネートの腐敗進行によるアンモニア性窒素の発生に対する影響を調べた in vitro 試験の結果では、10%の割合で鶏肝ホモジネートと混和した場合、腐敗進行によるアンモニア性窒素の発生は対照と比較して24時間目に51.6%、72時間目に81%のアンモニア性窒素の生成を抑制した。
介護老人ホームの入居者を対象としたヒト臨床試験において、BX100FPDの500mg/日及び1500mg/日の2週間摂取で、糞便中のアンモニア、硫化物、フェノール、クレゾール及びインドールを有意に減少することが確認された。
(3)腸内環境改善作用
ヒト臨床試験として、社会福祉特別老人ホームの入居者と職員9名のボランティアにBX100FPDの500mg/日(標準量)と1500mg/日(3倍量)をそれぞれ2週間投与し、摂取1週間目と2週目に採便し、腸内フローラの構成を調べた。
腸内フローラでは、ビフィズス菌はBX100FPDの標準量では摂取2週目に有意に増加し、3倍量群では摂取1週間目に増加傾向を示し、摂取2週目には有意に増加した。レシチナーゼ陽性クロストリジュウム、大腸菌群及びブドウ球菌は標準量及び3倍量ではともに摂取2週目に減少傾向を示した。