[資料 No.6]
文献解説表
標題
シャンピニオンエキスの消臭効果と生体内インドール、トリプタミン生成抑制効果
著者
古泉巖、鈴木嘉彦、志村純子
掲載
日本公衆衛生雑誌 44(1)1997
要旨
シャンピニオンエキスの消臭効果およびインドール、トリプタミン生成抑制効果について、in vitroおよびin vivoの実験を行なった。その結果、鶏肝ホモジネートの37℃保温による腐敗進行により生成されるアンモニア性窒素量を評価基準とした臭気測定で、シャンピニオンエキス1.0ml以上の添加でその生成を抑制する効果が見られた。また、家兎に多量のトリプトファンを経口投与すると、腸内細菌の酵素で生成されたトリプタミン、インドール酢酸は吸収されて血液中に出現するが、シャンピニオンエキスは血液中のトリプトファンには影響を与えず、トリプタミン、インドール酢酸量を減少させた。
目的
シャンピニオンエキスの消臭効果とインドール、トリプタミン生成抑制効果について、腐敗によって発生するアンモニア性窒素および血液中のインドール酢酸、トリプタミン濃度を評価基準としたin vitroおよびin vivoの実験を行い調べた。
具体的手法
・鶏肝ホモジネートを37℃に保温し、腐敗を進行させアンモニア性窒素を測定し、in vitroでシャンピニオンエキス添加によるアンモニア性窒素発生抑制効果を調べた。
・家兎にトリプトファンを経口投与し、血中に検出されるインドール酢酸、トリプタミンの濃度を測定し、シャンピニオンエキスによるこれらの物質の生成抑制効果を調べた。
・食肉の腐敗により生じるアンモニア性窒素の濃度、および腸管から吸収されたトリプトファンの代謝産物であるインドール酢酸とトリプタミンの血中濃度を測定し、消臭効果の評価基準とした。
・アンモニアはネスラー法により、トリプトファン、トリプタミンおよびインドール酢酸は家兎の血清を用いて高速液体クロマトグラフィーにて分析した。
結果の要約
まとめ
鶏肝ホモジネートの腐敗により生成するアンモニア性窒素の生産量を基準としたin vitro試験で、シャンピニオンエキスは消臭効果を示した。また、家兎に多量のトリプトファンを投与し、血液中のインドール酢酸、トリプタミン濃度を測定したin vivo試験で、トリプトファンとシャンピニオンエキス併用投与により血中のインドール酢酸、トリプタミンの代謝を早めることが分かった。これらのことより、シャンピニオンエキスは動物性食品などの腐敗による悪臭発生の防止に役立つことが示唆された。