[資料 No.2]

文献解説表

標題

Bio-M(シャンピニオンエキス)の経口投与の臨床例
〔高齢入院患者に対するBio-M経口投与による便臭、便性の改善、血中アンモニアの抑制及び病室の臭気対策〕


著者

阿部二郎、金谷清、豊嶋俊光


掲載

第36回東北臨床衛生検査学会抄録集


要旨

老齢人口の増加に伴い、入院患者の高齢化が進みオムツやポータブルトイレの使用者も増えている。従って、オムツ交換時には病室内は特有の臭いが充満し、換気してもなかなか消臭できないのが現状である。そのため臭気の原因の大部分を占め、人体から発生する臭気成分の中で最も強烈な悪臭である便臭を軽減し病室内の環境を改善するための対策が重要視されている。
臭いの強い便は介護を必要としている高齢者自身のみならず、介護者や周囲の人にとっても時として容認しがたい不快な臭気を揮発させる。しかし、防臭対策として一般的な換気扇や空気清浄器で換気する方法や最近試みられている脱臭効果のある使い捨て消臭シーツ、消臭オムツ、介護人用の防臭マスク等の防臭対策は排泄された糞便に対する対処的な方法であるため便臭の周囲への揮発・拡散を根本的に防ぐことは容易ではない。
こうした病室内臭気を消臭する方策として、Bio-Mを一定期間経口投与しその効果を調査した結果、便臭を有意に低減することが確認され、腸内環境浄化と病室内環境から不快臭を追放する有効な対策として日常の臨床の中での利用が望まれた。


目的

高齢入院患者にBio-Mを経口投与し、以下2点についての効果を調査する。
1.大腸内での糞便形成時に悪臭成分が発生するのを抑制し、結果的に体外に排泄された時の便臭を有意に低減させ、室内環境の悪化を未然に防止する。
2.腸内菌叢に影響を与えることにより便性(便の色調、形状)を改善し、便臭低減の相乗効果を得る。


具体的手法

・昼食時に一人1包みを食事とともに服用させ、以後10日毎に検査及び胃腸症状について問診を行なった。
・便臭濃度の判定は、人間の嗅覚による強弱の測定(官能検査)と北川式ガス検知管による便中ガスの定量的測定により行なった。
・被験者全員の血中アンモニアを藤井・奥田変法を用いて定量した。


結果の要約

対象例数摂取量・期間結果
老人病棟に長期入院中の患者 ・長期臥床であるが意識明瞭な患者:12名

・やや独歩可能な患者:2名

合計:14名
摂取量:
1包/日

摂取期間:
1ヶ月
(平成7年7月20日~8月20日)
胃腸症状:
14名中便秘が改善し特に問題なしが6名 残り8名が投与後に胃腸症状の調子が良 いとの結果を得た。

官能検査:
Bio-M投与10日後に便性に改善の兆しが 見られ、20日後、30日後には改善または 安定し、明らかに便臭が少なくなった。

便臭成分:
北川式ガス検知管による便中ガス濃度と 血中アンモニア濃度の測定の結果、Bio-M 投与による便臭成分抑制効果及び血中ア ンモニア抑制効果が確認された。

対象

老人病棟に長期入院中の患者

例数

・長期臥床であるが意識明瞭な患者:12名
・やや独歩可能な患者:2名
合計:14名

摂取量・期間

摂取量:1包/日
摂取期間:1ヶ月(平成7年7月20日~8月20日)

結果

胃腸症状:
14名中便秘が改善し特に問題なしが6名 残り8名が投与後に胃腸症状の調子が良 いとの結果を得た。

官能検査:
Bio-M投与10日後に便性に改善の兆しが 見られ、20日後、30日後には改善または 安定し、明らかに便臭が少なくなった。

便臭成分:
北川式ガス検知管による便中ガス濃度と 血中アンモニア濃度の測定の結果、Bio-M 投与による便臭成分抑制効果及び血中ア ンモニア抑制効果が確認された。


まとめ

Bio-Mの投与は、胃腸症状に何ら特変なく便性の改善、便臭、体臭の低減、血中アンモニアの低下などに有効な手段であり、且つ病室の臭気対策に役立つものと考えられる。