［資料　No.1］

文献解説表

標題

90日間亜慢性投与毒性試験及び遺伝毒性試験によるエノキタケ抽出物(キトグルカン)の安全性解析

著者

江口 文陽、松岡 寛樹、菊川 忠裕、渡邉 泰雄、松田 隆秀

掲載

応用薬理, 75(1/2), 25-31(2008)

要旨

エノキタケ子実体抽出物(キトグルカン)をマウスに90日間連続投与することによる亜慢性毒性試験を実施した。その結果、投与期間中、ケージサイドから毎日、また、体重測定時に詳細に観察したが、異常は見られず、死亡例も無かった。血液学・血液生化学検査でもコントロール群と比較して有意な差は無く、毒性学的な変動は無いと考えられ、さらに剖検所見・臓器重量についても、組織変化はコントロール群でも観察されるものと同程度であり、毒性学的意義は低いものと結論づけた。
Salmonella typhimurium TA98, TA100, TA1535, TA1537及びEscherichia coli WP2/uvrA-を対象に、キトグルカンの復帰突然変異試験を行った。その結果、本試験の変異原性はS.typhimurium及びE.coliに対して陰性であり、微生物を用いた試験系においては、キトグルカンの変異原性は無いものと結論づけた。

目的

マウスによる90日間反復投与毒性試験、及び微生物を用いた遺伝毒性試験を実施し、エノキタケ子実体抽出物(キトグルカン)の安全性を確認する。

具体的手法

•  4週齢Crlj:CD1(ICR)マウスの雌雄を60匹ずつ、1週間の予備飼育を行い、健康動物であることを確認し、試験に供した。
•  キトグルカンは投与量を注射用水に懸濁させ、コントロールは注射用水のみを、胃ゾンデにより強制経口投与にて1日1回、9:00～13:00の間に与えた。
•  試験期間を通して一般状態を毎日観察するとともに、体重は週1回測定した。
•  投与最終日より24時間絶食した全固体から、ネンブタール麻酔下で採血し、血液学
・血液生化学的検査を行った。
•  投与最終日の前々日に各個体の新鮮尿を採取し、尿検査を行った。
•  全身の器官・組織についての異常の有無を肉眼的に観察し、さらに、検鏡観察した。
•  遺伝毒性試験は、サルモネラ菌を用いたエームス試験ならびにumu 試験を行った。

結果の要約

対象例数摂取量・期間結果
○亜慢性投与毒性試験4週齢Crlj:CD1(ICR)マウスの雌雄○120匹雌：60匹雄：60匹○摂取量
100、350、500、1000、2000 mg/kg を1日1回強制経口投与

○摂取期間
90日		雌雄各60匹ずつのマウスを用いて、キトグルカンの投与量の違いにより、雌雄6群(n=10)を設定し、1日1回、9:00～13:00の間に経口投与によって与えたところ投与期間中、異常は見られず、死亡例も無かった。
○遺伝毒性試験Salmonella typhimurium TA98, TA100, TA1535, TA1537及びEscherichia coli WP2/uvrA-  微生物を用いた遺伝毒性試験の結果およびumu 試験の結果、微生物を用いた試験系においては本試料の変異原性は無いものと結論づけた。

対象

○亜慢性投与毒性試験4週齢Crlj:CD1(ICR)マウスの雌雄

○遺伝毒性試験Salmonella typhimurium TA98, TA100, TA1535, TA1537及びEscherichia coli WP2/uvrA-

例数

○120匹雌：60匹雄：60匹

摂取量・期間

○摂取量
100、350、500、1000、2000 mg/kg を1日1回強制経口投与
○摂取期間
90日

結果

雌雄各60匹ずつのマウスを用いて、キトグルカンの投与量の違いにより、雌雄6群(n=10)を設定し、1日1回、9:00～13:00の間に経口投与によって与えたところ投与期間中、異常は見られず、死亡例も無かった。

微生物を用いた遺伝毒性試験の結果およびumu 試験の結果、微生物を用いた試験系においては本試料の変異原性は無いものと結論づけた。

まとめ

エノキタケ子実体抽出物(キトグルカン)を被験材料として90日間の反復経口投与による亜慢性毒性試験及び微生物を用いた遺伝毒性試験を実施した本試験結果を総括すると、キトグルカンには毒性学的な問題及び変異原性は無いことが確認され、安全性が高い食品であると認められた。