[資料 No.16]

文献解説表

標題

エノキタケ抽出分画のβアドレナリン受容体結合活性の評価


著者

吉田 徳、萩原 えり、伊藤 由彦、渡邉 泰雄、山田 静雄


掲載

応用薬理, 76(5/6), 85-90(2009)


要旨

乾燥エノキタケからエタノールを使って抽出した複数の成分が、βアドレナリン受容体をどの程度刺激するのかを調査した。βアドレナリン受容体は刺激を受けると脂肪分解や熱産生作用向上に効果があることが肥満動物を使った試験で分かっており、ヒトの脂肪細胞でも脂質代謝に関係のある効果をもっていることが考えられる。試験の結果、エタノールで抽出した成分の中でも、脂肪酸を多く含んでいる部分が比較的強くβアドレナリン受容体を刺激することが分かった。さらに、この脂肪酸を多く含んだ部分は、濃度を高くすればするほど、3種類あるβアドレナリン受容体の中でもβ3アドレナリン受容体に対して、よく結合して強い刺激を与えることも分かった。このようなことから、「エノキタケ抽出物」には内臓脂肪を減少させる効果が認められていることも考えると、そのメカニズムとしてβアドレナリン受容体の活性化が考えられるのではないかということが示唆された。


目的

・「エノキタケ抽出物」が内臓脂肪を減少させるメカニズムについて解明をしていく


具体的手法

A.乾燥エノキタケからエタノール及び酢酸エチルを使って抽出を行い、さらに抽出に使用しているメタノール、酢酸エチルの割合によって6種類の成分に分けた。
B.メタノールのみに溶けている成分をさらに細かく分けた。
C.Bで細かく分けた成分がβアドレナリン受容体にどの程度結合し、刺激を与えるかを調べた。


結果の要約

対象披検物質結果
○β3アドレナリン受容体が存在している細胞(CHO-K1細胞)   

○β1アドレナリン受容体が存在している細胞(CHO-K1細胞)

○β2アドレナリン受容体が存在している細胞(CHO-K1細胞)
○具体的手法のBで、細かく分けた成分
○ヘキサン・酢酸エチル混合液で抽出した成分
○酢酸エチルで抽出した成分
○メタノールで抽出した成分 

○具体的手法のBで、細かく分けた成分のうち、β3アドレナリン受容体と結合して、活性化させることが認められたもの

 ○具体的手法のBで、細かく分けた成分のうち、β3アドレナリン受容体と結合して、活性化させることが認められたもの 
○具体的手法のBで、細かく分けた数種の成分が、比較的強くβ3アドレナリン受容体と結合し、活性化させていることが分かった。
○ヘキサンと酢酸エチルを4:1で混ぜた液で抽出した成分において、濃度が高くなるほど強くβ3アドレナリン受容体と結合し、活性化させる性質があることが分かった。 


 ○β1アドレナリンレセプターとは50%、β2アドレナリン受容体とは80%の割合で結合し、活性化させる性質があることが分かった。

対象

○β3アドレナリン受容体が存在している細胞(CHO-K1細胞)   
○β1アドレナリン受容体が存在している細胞(CHO-K1細胞)
○β2アドレナリン受容体が存在している細胞(CHO-K1細胞)

披検物質

○具体的手法のBで、細かく分けた成分
○ヘキサン・酢酸エチル混合液で抽出した成分
○酢酸エチルで抽出した成分
○メタノールで抽出した成分 

○具体的手法のBで、細かく分けた成分のうち、β3アドレナリン受容体と結合して、活性化させることが認められたもの

 ○具体的手法のBで、細かく分けた成分のうち、β3アドレナリン受容体と結合して、活性化させることが認められたもの 

結果

○具体的手法のBで、細かく分けた数種の成分が、比較的強くβ3アドレナリン受容体と結合し、活性化させていることが分かった。
○ヘキサンと酢酸エチルを4:1で混ぜた液で抽出した成分において、濃度が高くなるほど強くβ3アドレナリン受容体と結合し、活性化させる性質があることが分かった。 

 ○β1アドレナリンレセプターとは50%、β2アドレナリン受容体とは80%の割合で結合し、活性化させる性質があることが分かった。


まとめ

・エノキタケ抽出物の原料である乾燥エノキタケの含有成分に、βアドレナリン受容体と結合し、活性化させる性質があることが分かった。
・エノキタケ抽出物含有食品による内臓脂肪減少効果のメカニズムに、βアドレナリン受容体の刺激作用があることが明らかとなった。